昨年10月、愛知県で開かれた「第63回 技能五輪全国大会」を見に行ってきました。建築大工の日本一を決める大会です。
技能五輪全国大会とは
厚生労働省などが主催する、若手技能者の全国大会です。出場できるのは原則23歳以下。建築大工のほかにも、電気工事、左官、造園、調理など数十の職種があり、それぞれの分野で日本一を決めます。この年は愛知県で、10月17日から20日まで開かれました。
ひとり一区画で、いっせいに木を刻む

広い展示ホールの床に、赤いテープで選手ひとりずつの区画が区切られ、そこに道具箱と材料を持ち込んで作業します。背中の番号が選手のゼッケンです。
削った鉋(かんな)くずが、区画ごとに山になっているのが見えるでしょうか。電動工具に頼らず、鉋と鑿(のみ)で仕上げていく競技です。
2日間・のべ12時間、すべて手作業

建築大工の競技は2日間にわたって行われ、時間は合わせて12時間。現寸図を描くところから始まり、部材を削り、墨付けをして、加工し、小屋組の一部を組み上げるまでを、ひとりで仕上げます。
図面を渡されてから完成まで、頼れるのは自分の手と道具だけ。見ているだけで、こちらの背筋が伸びる時間でした。
いちばん学んだのは、道具の並べ方でした

よく見ていただくと、どの区画も道具がきちんと並べられています。鉋は向きをそろえて、鑿は大きさの順に、材料は寸法ごとに重ねて。
これは見た目の几帳面さの話ではありません。限られた時間のなかで、迷わず次の道具に手が伸びるかどうか。手元が整っている人ほど、仕上がりも狂わない。ベテランの職人が口をそろえて言うことを、若い選手たちが当たり前のようにやっていました。
現場に持ち帰りたいこと
うちの現場も、こうでありたい。まずは道具の置き方から見直したいと思っています。
技術の世界に「これで十分」はありません。新しい材料や工法を学ぶことも大切ですが、鉋を引く、墨を付けるといった手仕事の基本を、こういう場で確かめられたのは大きな収穫でした。
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